1月4日(日)7:30~8:00
シリーズ・ふるさとの手仕事②
『これぞ紙業!祝いのホウライ』
◆◆◆地域の誇りを掘り起こす30分◆◆◆
みなさん、2008年はどんな一年でしたか?
よく「変化=CHANGE」という言葉が飛び交った1年でしたが、
ふるさとにはいつまでも変わることのない伝統があります。
◎能登の正月に欠かせない
「ホウライ」というものをご存知でしょうか。
能登の人なら誰でも知っている、当たり前のものかも知れませんね。
神棚に下げられた、「福寿」などの文字や「縁起物」が描かれたものです。
一般的には「蓬莱」と書くそうですが、
奥能登では「宝来」とも書くとか。これは縁起がいいですね。
この「ホウライ」は年の瀬に飾って、1年間ずっと飾っておきます。
新しい年の商売繁盛や家内安全などを祈るわけですね。
能登では一般家庭だけではなく、漁師さんの事務所や飲食店などなど、
とにかく能登では、ほとんどの神棚で見ることができます。
◎能登の「彫り絵」
もともとは神社などに野菜や魚などをお供えした際、神職から「福寿」といった、
ありがたい言葉を一筆書いてもらって飾ったのが始まりと言われています。
これが能登では、模様をくりぬいた切り絵になったのです。
輪島市の小坂龍彦さんは、葬祭具を扱うお店を営んでいることから
「ホウライ」作りを始めました。カッターだけではなく、
葬祭具用に使っていた道具のノミを使うのが特徴です。
基本となる台紙の下に数枚の紙を重ね、
細かい模様や曲線に合わせて、ノミをあてていきます。
サクッという小気味よい音が作業場に響きます。
1年間、願いを込めて飾られるものなので、
小坂さんはほどよい緊張感に包まれながら、丹精込めて仕上げます。
このノミを使うところから、能登の「ホウライ」は「彫り絵」とも呼ばれるのです。
一方、切り絵を極めた達人でもある高柳常栄さんは、
「ホウライ」を多くの人に知ってもらおうと、金沢など各地で指導しています。
正月の縁起物を自分の手で作る喜びはひとしおで、
能登の習わしの普及と伝承に精を出しています。
また七尾市の小野竹松さんは、墨による手書きの「ホウライ」を手がけます。
始めは1年に3000枚ほど書いて近所に配るなどしていましたが、
今では年に20000枚! 9月から作業を始めるそうです。
妻・陽子さんの支えともらった人たちの笑顔があればこそでしょうか。
奥ゆかしい能登の年の瀬に見られる風景。
また1年、みなさんにご多幸がありますように・・・
いしかわ大百科
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【リポーター】平見夕紀