12月9日(日)7:30~8:00
シリーズ・いしかわ手仕事の味②
『知恵が生んだ発酵食品』
◆◆◆ふるさとの遺伝子を探る30分◆◆◆
日に日に寒さが増してきましたが、今回の手仕事の味は、
冬の間の保存食としても重宝されてきた発酵食品です。
◎郷土の味
輪島の朝市を歩いていると、大きな桶がいくつも並んでいます。
中身は「こんか漬け」。イワシやサバなどを糠でつけた保存食です。
「こんか漬け」は冷蔵設備がなく、たくさんの魚を水揚げしても
捨てるしかなかった時代に、保存するための知恵として生まれたものです。
お米や野菜などと物々交換して、
漁に出られない冬のタンパク源として重宝されてきました。
焼いて食べるのが一般的ですが、
大根の刻み葉をこんかいわしの出汁で食べる菜汁や
スライスしたこんかいわしをさっと酢にくぐらせて食べる刺身などなど、
奥能登ではフルコースができるほど、様々な食べ方があります。
オーストラリア出身のベンジャミンさんが腕を振るう、
能登町の民宿・ふらっとでは、
「能登のアンチョビ」として、こんかいわしなどの発酵食品を
ピザやパスタといったイタリア料理に変身させました。
ベンジャミンさんいわく、
『日本のテクニック、旨味を造るのがすごい上手。
発酵食文化は素晴らしい!』とのこと。うれしいですね!
また羽咋市あたりでは、こんかいわしと酒粕で野菜などを煮る
「べか鍋」が受け継がれています。
寒い冬、各家庭の食卓をほっこりと温めてくれる郷土料理ですね。
◎大流行の塩麹
一方、ここ最近、人気急上昇なのが「塩麹」。
人工的な調味料とは違い、麹が発酵することで生み出される
アミノ酸やブドウ糖などが天然の旨味調味料として
料理を引き立たせるとあって、大流行になっています。
石川県内ではこのブームに先駆けて、
数年前から「塩麹」の魅力を発信している女性がいます。
麹料理研究家の小紺有花さんは、
家族の健康を考えて、独学で麹を学びました。
県内はもちろん、全国から海外にまでその魅力を伝えています。
『北陸の発酵食品は質が高く、これからは発酵食品の時代…』
小紺さんの活動をきっかけに、地元の食品加工メーカーなどが協賛する
「発酵食大学」が来年、開校することになりました。
石川の風土に育まれた、古くて新しい食文化。
発酵食品の魅力に迫ります。
いしかわ大百科
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【リポーター】平見夕紀