3月10日(日)7時30分~8時00分
シリーズ・いしかわ手仕事の味⑤
「山ろくを支える食 堅どうふ」
◆◆◆ふるさとの遺伝子を探る30分◆◆◆
まだまだ白山ろくは雪が残っていますが、
そろそろ春を感じる季節になってきました。
今回は、白山ろくの名物ともいえる「堅どうふ」が主役です。
◎美味しく、美味しく…
白山ろくでは夜明け前後になると、大豆を煮詰めて絞った
豆乳の香りがそこかしこで漂ってきます。堅どうふ造りです。
堅どうふは濃い豆乳を絞ることでその堅さが生まれ、
白峰地区では「石豆腐」とも呼ばれています。
国道沿いに店を構える山下ミツ商店は、明治20年の創業。
国産の大豆と天然にがりにこだわり、平成4年、
1丁1000円の堅どうふを販売して業界を驚かせました。
社長の山下浩希さんは、「美味しい豆腐造りはまず原料」と、
素材にこだわってきました。
稼業を継いだ頃は堅どうふと油揚げだったのが、今では
積極的に新商品を生み出し、グレードの高い豆腐店を目指しています。
また移動販売車で自らも行商に出かけ、
お客さんと直接会話しながら、商売の醍醐味を感じています。
モットーは「常に美味しく、美味しく…」
美味しさを追求した、記まじめな堅どうふに注目です。
◎地域の味
信仰心の厚い白山ろくで、堅どうふは報恩講に欠かせない食材。
仏事のみならず、正月などのハレの日にしか食べられなかった
まさにご馳走でした。
北野食料品店の北野美由紀さんは嫁いでから豆腐造りを学びました。
近所の人たちに教わりながら、昔から受け継がれてきた味を守っています。
名物は表面を少しだけ焼いて、しょうゆだけの味付けでさっと炊いた田楽。
ほんのりの香ばしい香りがして、食べ応えがあります。
また油揚げは最初は低温でじっくりあげて、
最後は高温でパリッと仕上げています。
外はサクッと、中はジューシー。今回、揚げたてをいただきましたが、
何もつけなくても、大豆の旨味が口に広がり絶品でした!
今でこそ、口当たりの滑らかな豆腐が主流ですが、
中国から入ってきた当時は堅どうふが本来の豆腐でした。
特に白峰のように道路事情が整備されていなかった地域は
こうした堅どうふの文化が連綿と受け継がれているのです。
霊峰白山からの清らかな水の恵みと、新鮮な空気。
白山ろくの風土も兼ね備えた、まさに山里のご馳走です。
いしかわ大百科
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【リポーター】平見夕紀