◆◆◆ふるさとの遺伝子を探る30分◆◆◆
加賀藩13代藩主・前田斉泰による能登巡見の旅。外国から開国の圧力が強まり、全国的に海岸防衛・警備の重要性が問われたためでした。総勢およそ700人。500㎞にも及ぶ行程。斉泰一行を出迎える側も同様に大変な準備をして迎えました。その家々が当時の趣を残し今も大事に守られています。
22日間の行程で城へ戻る際の斉泰公の宿泊場所となったのが岡部家。江戸時代から明治の廃藩置県まで農民身分の最高職・十村役を務めた名家です。各部屋は殿様を迎える、たった1日の為だけに合わせた造りになっています。例えば、天井の下に作られた障子張りの「武者隠し」は殿様の警護係がそこに入り、敵が攻め込んで来た時に戸を蹴落として、いつでも出動できるようになっています。
一方、斉泰公の行きの宿泊場所となった上時国家も同様に、その建物は贅沢な造り。189坪の屋敷は間口18間・奥行10間そして高さ９間半はビルの5階建てに相当する最大規模の民家で手の込んだ造りや凝った飾りなど重要文化財指定時には「近世木造民家の到達点を示す」ものと評価を受けました。