1月25日(日)7:30~8:00
シリーズ・ふるさとの手仕事③
『能登杜氏』
◆◆◆ふるさとの遺伝子を探る30分◆◆◆
県内の酒蔵では今、日本酒造りがピークを迎えています。
今回の手仕事は、こだわりの酒を造り続ける杜氏と蔵人たちです。
◎山廃の神様
白山を望む加賀平野で長年造り酒屋を営む、加賀市の鹿野(かの)酒造。
ここに「山廃の神様」と呼ばれる能登杜氏がいます。
農口尚彦さん、76歳。
能登町出身で中学卒業後、すぐに出稼ぎに行きました。
仕事場となったのが造り酒屋。
勉強よりもはるかに厳しい世界ですが、生活がかかっているからと
一心不乱に覚え、酒造りの技を極めていきました。
製法が難しいとされる山廃仕込みの日本酒を復活させ、数々の賞を受賞。
「一人でも多くの人においしいと言ってもらえるように・・・」と、
今現在も妥協を許さない手仕事を見せています。
ちなみに杜氏と呼ばれる酒造りの最高責任者は全国で800人余り。
このうち能登杜氏は69人で、日本4大杜氏に挙げられます。
中でも農口さんは日本一と謳われた杜氏なのです。
酒造りはカンが頼りと思われがちですが、酒蔵には数字や数式が並びます。
温度や時間を徹底的に管理し、それを続けることが
酒造りの「技」そのものと言っても過言ではありません。
そんな農口さんの仕事ぶりや造り出した酒にほれ込み、
この酒蔵にやってきた6人の蔵人たちがいます。
およそ半年もの間、24時間つきっきりというキツイ仕事。
加えて農口さんの厳しい指導も、おいしい酒を造るため・・・と思えば、
誰も弱音を吐かず、愛情込めて打ち込むことができるのです。
このチームワークから生まれた酒がおいしくないわけがないですね。
◎酒造りは時間との闘い
この酒造り、主な行程は次の通りになっています。
洗米 ⇒ 蒸し ⇒ 麹造り ⇒
酒母造り ⇒ 本仕込み ⇒ しぼり
もちろん、細かな作業を含めると、気が遠くなるような作業ですが、
例えば酒米を洗うにしても、どれだけ水を吸わせるかで
味が変わってしまうというシビアなもの。
一旦、水にさらした酒米や蒸し上がった酒米を駆け足で運んだり、
まさに酒蔵は戦場です。でも、ただ急いでするのではなく、
目配りと気配りがあってこそ、おいしい酒に仕上がるのです。
酒造りはとてつもない愛情と忍耐力があってこそなんですね。
能登出身の農口さんだからこそでしょうか。
そして、その姿にほれ込んだ蔵人たちも、
それぞれの役割を全うしながら次代の杜氏を目指しているのです。
さて、皆さん、日本酒をちびりとやりたくなりませんでした?
酒造りの大変さを見ていただければ、より一層おいしくなりますよ。
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【リポーター】平見夕紀