4月17日(日)7:30~8:00
シリーズ・ふるさとの彩り①
『金沢のひなまつり』
◆◆◆ふるさとの彩りを探る30分◆◆◆
大百科は番組開始以来22年目の春を迎えました。
今回からは伝統文化や自然などから感じる、ふるさとの彩りに注目します。
◎歴史を感じるひな飾り
さて、ひな祭りと言えば、3月3日までお飾りして、
もうとっくに終わってる…と思われるかも知れませんが、
金沢では旧暦に合わせ4月3日まで飾る家が少なくありません。
一部では加賀藩祖・前田利家が1599年閏3月3日に逝去したことから、
しまうのを一ヶ月遅らせる…という言い伝えもあります。
前田家の命で醤油づくりが始まって400年となる大野醤油。
このうち直源醤油(なおげんしょうゆ)のご主人・直江さんのお宅には、
昭和初期の立派なひな壇が飾られています。
お内裏様とお雛様がお社のようなものに入っていて特徴的。
ご主人の直江さんも「飾りつけは大変だけど、
前田さんのチカラを頂いて醤油を作っているので、
こうした伝統も続けていきたい」と語ってくれました。
一方、老舗料亭のつば甚では、いくつかの客室に、
形が違ういろいろな雛人形を飾っています。
中でも特徴的なのは、上方で人気を博したという「御殿雛」。
京都御所の紫宸殿を模したもので、こちらも飾りつけが大変そうです。
女将の鍔(つば)さんは「雛人形を飾り始める頃はまだ雪深く、
空も灰色の世界、それが人形たちの色で華やぐ…」と、
その彩りへのこだわりを話してくれました。
このほか成巽閣では、毎年この時期になると
前田家ゆかりの雛人形と雛道具が公開されます。
雛人形は「次郎左衛門雛」と言って、当時流行していた真ん丸い顔が特徴。
加賀藩の安泰を祈って家族に贈られたものや、
藩主から奥方に贈られたものなど、そこには家族の愛情が伺えます。
吉竹泰雄館長も「古い貴重な雛人形というだけではなく、
その裏側にあるエピソードと合わせて知ってもらいたい」と話します。
一口に雛人形と言っても、これだけ形が違うものかと正直驚きました。
皆さんもお気に入りの雛人形を探してみてください。
◎節句を彩る伝統の菓子
そして、ひな祭りに欠かせないのが、「金花糖」です。
熱した砂糖を型に流し込み、鮮やかな色彩を施した雛菓子です。
そもそもの始まりは前田家13代・斉泰が造らせたのが始まりで、
その際に使われた木型が、老舗和菓子店・森八に残されています。
ことし新本店がオープンした森八の2階には、落雁や金花糖造りに
使われた木型を紹介する「菓子木型美術館」があります。
両側にズラリと並んだ木型の回廊は圧巻。
中に入ると、まるで宇宙空間に入ったような気分です。
1000丁を超える木型は時代ごとに並べられ、金花糖に使われた
鯛や野菜、果物などの木型のほか、名工たちによる
精巧なデザインの木型もあり、なかなかの迫力です。
女将の中宮さんは、「石川県、金沢の伝統の深さを感じてほしい」と、
あらためて菓子処・金沢の真髄を見せてくれました。
金沢は鉛色の空がよく似合うといわれますが、
どんよりとした空に映える色彩を求めたからこそ、
こうしたお菓子にまで華やかさが溢れているのではないでしょうか。
金沢の伝統美をじっくりとご覧ください!
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【リポーター】平見夕紀